カジノで勝てると錯覚する理由

カジノで客が長期的な視点で見て勝つことは、カウンティング等といった一部の例外を除けば絶対にありえません。
少し考えてみれば当たり前の話で客が負けてくれなければカジノにお金が入らないです。
そうなれば従業員に支払う給料も出せませんし、家賃を払うこともできないです。
慈善事業ではないのですから、お金が入らないようなことはしません。
しかし、多くの人は勝てると錯覚してしまいます。
それについて説明します。

 

実は勝てる可能性の方が高い

人間は最初の経験と直前の経験が大きく残ります。
そして、短期的に見ると、実は勝てる可能性の方が高いのです。
よくビギナーズラックという言葉がありますが、これは理にかなっています。
例えば、1/100の確率で当たりとなり90倍の配当が得られるギャンブルを考えてみましょう。
確率を知っている人であればこのギャンブルは絶対に損することは分かります。
1回100円でこのギャンブルが出来るとした場合、平均すれば10000円払って9000円貰えることになるので1000円損します。
しかし、このギャンブルは89回目迄に当たりを引き、そこで止めることが出来れば勝てます。
1/100を引くには100回の試行が必要そうに思えます。
それは長期的には正しいですが、短期的に見れば必ずしも正しくないです。
89回目迄に当たりを引く可能性は1-0.99の89乗です。
0.99の89乗とは0.99を89回掛けることを意味します。
これを計算すると59%で半分よりは高い確率で勝てることが分かります。

 

カジノに於いて90%の還元率というのは低い部類

カジノに於いて90%の還元率というのは低い部類に入ります。
直接計算がしにくいスロットマシーンは置いとくとしまして、ルーレットではスタイルによる差はありますが、アメリカンスタイル(1から36迄の数字と0と00があるタイプ)では94.7%の還元となります。
バカラやブラックジャックはこれ以上の還元率になる為、カジノの還元率は95%は超えます。
還元率90%のギャンブルでも59%の確率でビギナーズラックで勝ててしまうのですから、60%以上の客は最初に勝った経験があることになります。
また、60%以上の客は直近では勝っていることです。
つまり、最初か直前の経験では実は多くの人が勝っていることになります。
長期的にみれば確率通りに収束しますし、高校で習う数学を知っていればカジノでは勝てないことは理屈ではわかるのですが、このようなマジックがある為、勝てると錯覚してしまうのです。

 

ギャンブラーの誤謬

しかし、勝っていると錯覚している内は未だ問題は少ないです。
ギャンブルで負けたことを認識するとそれをギャンブルで取り返そうとします。
その時、ギャンブラーの誤謬と呼ばれるやっかいな錯覚に襲われます。
ギャンブラーの誤謬とは例えば、校正なコインによるコイントスで5回連続で表が出る確率と4回表が出た後に裏が出る確率は全く同じなのに、5回目は裏が出る可能性が高いと勘違いすることです。
1/300の大当たり確率のパチンコで、300回を超えるとそろそろ当たりそうだと考えるのは正しくそれに当たると言えます。
この錯覚に襲われると、ギャンブルの負けを取り戻したいという気持ちと、そろそろ当たりが来るはずという根拠のない錯覚によりどんどん掛け金が大きくなり、負けが込んでしまいます。
そうすると、やがて破滅へとつながることになります。
確率は高校数学の範囲なので殆どの人は勉強しているはずです。

 

まとめ

ここで説明したことは決して難しい話では無く、センター試験レベルの難易度でしかない為、多くの人は少し考えれば理解できるはずです。
数学を実社会で使用する機会が無いという人もいますが、このような使い方をすることも大事なことです。